TRPGマッチョ


世の中には、マッチョな人がいます。その話が面白かったので今回はその話。


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元の話は「就職氷河期に人生を押しつぶされたよ」という人のSOSに対して、「人生の傷が君を豊かにするぜ!」と返したナイスガイの話(一部改変)


これらの話はこれで面白いのだけど、今回のネタはそこではなく、これを見た人の日記が非常に面白かったので、その話なのだ。


氷河期の猛吹雪にズダボロに引き裂かれた人々と、グングン成長した人たち



世の中には『片腕がサイコガンになってるスペースコブラみたいな陽気なムキムキガイ』がいる(笑)
パンピーが『「自分はわるくなかった理由」を10個考え出している間に「その状況から抜け出す具体策」を10個考え出す生き物がマッチョなんだ』


で、パンピーが困ってる時にマッチョに助けを求めるとどーなるかというと『マッチョマンに尋ねればマッチョな答えしか返ってこない』ので『マジ死ねるアドバイスが降ってくるだけだ』なのだ、というのが主旨だと思う。


いやー、ゲラゲラ笑った。その後、色々と納得したけど。



具体的に言うと、地上400メートルの高層ビルで火事に巻き込まれて死にかけたパンピーが「どうすれば良いの? マッチョマン!」などと助けを叫ぶと、マッチョマンはニヤリと歯を光らせて「燃え盛る炎の壁を突き抜けて、最上階にいる美女を助けて窓を破って脱出しろ! 放水ホースは命綱の代わりに使えるぜ!」みたいな回答が返ってくると思えば良い(笑)


パンピーな人は実際に実行してみて死亡するか、あるいは「マッチョな行動が出来ないのは自分が悪いのか」と自己嫌悪したりする。


それらは根本的に間違ってて、「出来るか! ぼけ!!」と叫ぶのが正しい(笑)
その後で、自分の出来る範囲でマッチョの真似をするか、まずはヘロヘロな自分が死なないように避難したりするべきなのだよ。


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で、まぁ、この手の話は就職とか仕事とかに限った話では無い。
程度の差こそあれ、どんな分野にもあり、勿論TRPG世界にもある(笑)


確かにTRPGを遊ぶには色々障害がある。


周囲にTRPGゲーマーがいないと遊べないし、場所も必要になる。
ルールブックだって安いのばかりではないし、読んだって全然わからねーし、だいたいあんな分厚いルールブック読む気にならないし、コンベに参加してみれば馬鹿にされたり、冷たくされたり、困ったちゃんに絡まれたりする。
ホント TRPGは地獄だぜ! フゥハハハーハァー 。


こういう状況で不満を訴えたい気持ちは分かる。
分かるんだが、その不満は一部のマッチョマンには届かない。


近くにTRPGを遊ぶ人がいなければネットなどを使って探すし、嫌なゲーマーしかいなければ、性格の良い奴をゲームに誘う。
距離が遠ければオンセで遊ぶし、ルールに不備があればハウスルールを作る。


人気が無いルールなら率先して遊んで面白さをアピールし、翻訳が遅ければ原書を読む。
ルールに個性が足りないと思うなら、個性を引き出すシナリオを組むし、GMの腕が未熟ならPL側からアプローチをして卓を盛り上げる。


老害がルールを振りかざすなら同じくルールを読み込んで一歩も引かず、ビギナーが分からないと言えばお互い楽しめるようにフォローする。
困ったちゃんがいれば弁舌を駆使して欠点を埋め長所を引き出す。


TRPGマッチョマンは、これらの事を呼吸をするように普通にやってのける。



こんな連中に「TRPGは新規参加者が少なくて大変だったよね」とか「あのルールは不備が多くて困るよね」とか言うのはまったく無駄だ。


それどころか、もしあなたが本当に問題を抱ている時にマッチョマンに助けを求めちゃったりすると、マッチョな回答が返ってきて、あなたを押し潰しかねない。


「君がビギナー相手のセッションをしろ! 毎年100人のビギナーを迎え入れれば、10年で1000人のビギナーが増えるぞ」とか言われても困るでしょ?
これならまだ極端なので、この回答が「マッチョ回答」な事が分かるので被害は少ない。



D&Dの遮蔽のルールが良く分からないよ。 教えて、マッチョマン!」と聞くと「日本語版 PHB P148には遠隔攻撃に関する遮蔽のルールが(中略)、しかしsageのアドバイスによると(中略)、SRDを見るに(中略)、参考までにAsk Wizardsでは(後略)」という回答が来たりする。


この時に「良く分からないけど頑張って理解してみよう。うぅー、ルールブックが分厚くて読むのがツライ。ばったり」死亡したり、「ルールが理解できないなんて、私の理解力が足りないのではないか」と自己嫌悪に陥る人はいる訳だ。


もう一度言う。
それらは根本的に間違ってて、「判るか! ぼけ!!」と叫ぶのが正しい(笑)


しかし、TRPGマッチョは別に悪意は無い。マッチョマンに尋ねればマッチョな答えしか返ってこないというだけの話だ。



同様に、「TRPGは衰退している」と感じている不安を書いた時に「何言ってんの?」と突っ込まれるのは、別に衰退している人を弾劾している訳では全くない。
TRPGマッチョは、心の底から「TRPGは衰退してない。希望の芽は幾らでもあるぜ」と感じているので「何言ってんの?」と疑問に思っているのに過ぎないのだ。


「ルールは死んで覚えろ」とか「空気と展開を読んで、仲間のロールプレイを引き出すリアクションをしろ」とか「ネタを仕込みつつも、ネタを知らない人にも楽しんでもらえるPCを構築しろ」とか「ハンドアウトを適切に運用しつつも、GMや他のPLが想像もしないような素敵プレイを披露しつつ、他のPCも立ててセッションを成功させろ」とか言うのも全て「無理難題」ではなく「マッチョ向けの問題」というだけの話だ。


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だから、TRPGを遊んでて無理難題を言われたら「これはマッチョ回答だなー」と思って、思い悩むのはやめ、自分のペースで問題に挑めば良い。


TRPGマッチョなんてのは、本物のマッチョから見れば大した生物ではない。
完全なビギナーさんが、あっという間にムキムキなマッチョになるのを私は何度も見た。
いずれ、あなたがそう成れないとは誰にも言えない筈だ。
それにマッチョでなくてもTRPGは幾らでも楽しめる。 たぶん人生もね。


そんでもって、TRPGマッチョな人も自分の回答が「マッチョな回答」になって無いのかを、ほんのちょっと考えてあげると良い。
マッチョしか生き残れない「修羅の国TRPG」というのは、どーかと思うからさ(笑)