T&T完全版 「これでもくらえ」の紳士協定問題

T&Tには魔法以外に「これでもくらえ(TTYF)」を妨害する技術は無い。
魔法にしても、ちょっと高度な呪文になる。
姿を隠すなど運用的に回避する事は可能だけど、毎回ソレってのも難しい。

逆にTTYFは1LVの魔術師でも使えるし、1Lvの威力でも1Lvの魔術師程度は倒せる。
2Lv以降も威力は簡単にあげられるし、勿論、TTYFは必中だから運にも期待できない。

その結果、魔術師同士が戦う場合、互いに初手にTTYFを撃つと同時に死亡する。
TTYF以外の魔法を使うと、だいたいの場合TTYF以外の呪文を使った魔術師だけ死亡する。

…この大変不毛な戦いを、私は中学生の時に数回繰り返し(おバカだったなぁ)、
「お互いにいきなりTTYFは止めよう」という紳士協定が結ばれた。

勿論、その後、飛び道具(後に銃器)の集中攻撃で同じ展開になって台無しだったが。


この話は別にT&T固有の問題でもなく、SW1.0ではヴァルキリーズジャベリン問題として、
エルフとダークエルフは良く互いに即死していた。

D&D3.5eだって所持金が3825gp以上の敵NPC魔法使いが、全員「ディスジャックション」の
巻物を買ってきて連打してきたら、大変不毛で悲しい事(主にリアルファイト)になるので、
理性あるDMは紳士的にその戦術を割けていた筈だ。
(逆に、ダブルクロスとかシノビガミなんかでは、セッションは壊しにくくなってるよね)

ルール的な最適解が強力過ぎてルールで解決しにくい、ってのは良くある話なのです。


と、いう訳で紳士協定と言うのは古くからある有効な手段で、別に恥じるべき事では無いのだけど
でも、まぁ、ルール外の協定で禁止するより、ルール内部で正常化を図りたい。


まず一番有効なのはマジックアイテムによる対応だ。
ルールブックには「マジックアイテムはスーパーマーケットで売ってるようなもんじゃない」と
書かれていて、マジックアイテムが溢れている世界は確かにどーかと思う。

それでも、最低限ボスクラスにはマジックアイテムの一つや二つは有っても良いと思う。
T&T完全版のマジックアイテムは価格は安い(初期冒険者所持金の2倍くらい?)なので、
価格的にはOKでしょう。

180gpの護符がだいたい半々の可能性で2LvのTTYFを妨害すると考えた場合、これがそれなりに
普及していれば「初手TTYF」を抑止する可能性はある。
(特に、魔術師は護符を持ってても不思議じゃないし)



次に「これでもくらえ」の修得に制限を入れる方法。
拡張ルールによれば「これでもくらえ」は人間の種族魔法なので、基本的に人間以外には
公開されてない、と言う方法も無くは無い。
盗賊にだって、基本的に公開されてない、と言う事はできる。
冒険の報酬で「これでもくらえ」修得をOKにするシナリオフックにも使える。


…なんだけど、使える呪文が少ないって、少し寂しいよね。
マジックプアーな世界で遊ぶ時は制限があっても良いかな。 
例えば、海賊船で大海原で大冒険なら、主役はサーベルとフリントロック銃で、魔法は限定的、とか。


運用回避をするのであれば、射程の話になる。
「これでもくらえ」は60mの射程なので、長距離飛び道具なら射程を超える(SRあるけど)
遮蔽が少ない野外戦闘がベースの世界(砂漠での冒険とか?)なら、初期遭遇距離を長くとって
対応するのも面白いかも知れないな。
パーティを二つに分けて耐久が少ない方は65m後ろにいる…てのは現実的じゃないか。

逆に、ダンジョンなどで初期遭遇距離をとても近くすると…短剣とTTYFとの相打ちが増えるだけか。


他の運用回避だと「見られなければ目標にならない」かな。
ドワーフ戦士などが大盾持ってファランクスばりに後衛を隠すのはどうか。
固いドワーフ戦士が耐えながら射程を踏み越えて蹂躙する。
・・・と言うか、本当に単なるファランクス戦術だな。 使用できる状況が限定されるのがキツイ。

遮蔽から遮蔽に移動して、気づかれる前に撃つ、みたいな展開をする手もあるけど、それって
サイバーパンクTRPGなんかの銃火器があるTRPGの様だ。 反応速度勝負とか。

○○○
T&TはGM毎に色んな卓が発生するだろうし、それが個性として面白いんだけど、その分、暗黙の
紳士協定ってのが存在しにくい。
「この世界の魔術師は敵魔術師とTTYF撃ち合って相打ちしやすい?」ってのは尋ねておいても良いかも。

その結果「俺も早く稼いで護符買わなきゃ」になるのか「紳士協定万歳」になるのかは卓しだいだね。