T&Tマスター初段

T&Tのマスターをしてきた。


「【モンスター!モンスター!】による【ベアダンジョン】突撃」見たいな、馬鹿セッションはともかく、真剣にT&Tをマスターしたのは10年ぶりくらいだと思う。
久々にするT&Tのマスターに、自分でも不思議なほどワクワクしたのが印象的だった。


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T&Tのマスターをしてて、さすがに10年の時間を感じる。 マスタリングの腕はあがったな。
それは同時に、プレイヤー達の腕が上がった事も意味する。
なんてったて、PL達ももう10年以上TRPGをしてきた連中だしね。


それは例えば、こんな所に現れる。


PT構成は、フェアリーの盗賊、ドワーフの戦士に、エルフの魔術師。
彼らがある部屋で吸血蝙蝠の大群に出くわした。


MR10が一人当たり1d6匹出てくる部屋で、フェアリーとエルフが3、ドワーフが6を振って、結局12匹登場する事になった。
MR10は1d6+5のヒット。 すると12匹で12d6+60. 期待値換算で102点。


PTのヒットはフェアリーが30、ドワーフが30ちょい、エルフが20点くらい。
ただし、ドワーフがバーサーク、エルフが"これでも食らえ"をうつと、ギリギリ100点超えるかも知れない。
とはいえ、フェアリーの耐久度は2点なのでちょっとでも負けると総崩れだし、バーサークや"これでも食らえ"を使用した後に、同じヒットを続けられるか自信が無い。
翻って、吸血蝙蝠は"これでもくらえ”で1匹倒しても93点程度は維持してくるだろう。


私が始めてT&Tをした中学生の頃なら、PLは総攻撃をしてただろうし、GMとして私もそれを受けて立っただろう。
そして恐らくはPCは全滅し、私達は(笑いながら)2枚目のキャラクターシートを取り出し、2人目のPCを作成した筈だ。


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が、今回のPL達は逃走を検討し始めた。


まず、一番器用度の高いフェアリーが回避に専念して逃走時間を稼ぐ難易度を聞かれたので、私は「セービングロール(SR)の難易度は4Lvである」と告げた。
無数にいる吸血蝙蝠から仲間の注意を逸らしつつ、かすり傷1つ受けないように逃げるのはこの程度の難易度だろうと考えたのだ。
(ちなみに、どの程度の難易度かというと難易度4Lvは目標値35.確かフェアリーの器用度は23くらいだから2d6振って12がでれば(ちなみにゾロ目ふり足し)成功だ。


次に、全員が普通に逃走する難易度を聞かれたので、「まずスピードで1LVのSR。成功すれば逃げられるが蝙蝠のヒットのダメージを受ける」と告げた。
蝙蝠のHITは102点なので3等分すると34点。フェアリーはおろかエルフも余裕で即死するダメージだ。
(ちなみにドワーフは戦士なので、これでも死なない。 たいしたものだ)


更に「ダメージを受けずに逃走したい場合は、器用度で3LVのSRが必要だ」と告げた。目標値は30。
フェアリーなら成功する可能性は高いが、エルフやドワーフは無理だろう。


PLが対応に悩み始めたので、マスターから助言もする。
「ある程度(具体的には半数)に襲われるのを我慢するなら、回避のLvを器用度2Lvにしても良いよ」。
これを実行して成功すれば追撃する敵は2:2:2. それでもまだエルフはSRに成功しても死ぬだろう。


そこでドワーフPLが「元々自分が多めに狙われたので、ヒットも自分が多めにならないか?」と質問された。
それは確かに合理的な質問だったので、それを反映し3等分ではなく1:2:1で敵を配分する事にした。
比率にすると端数がでるのでPLにダイスを振らせて、切り上げか切捨てかを決めさせた。
結果は、2:3:2. エルフ、フェアリー共に両方きり上げで役に立ってない(笑)


それでもめげずにドワーフPLが自分に大目に敵を引き付けたいと宣言したので、それも実行可能だとして
エルフの分の一匹分を引きつけられるとした。
この時点で判定に成功すれば来る敵は1:3:2. 全員が判定に成功すれば生存の可能性はある。


結果として。
エルフとフェアリーは両方の判定に成功して脱出成功。ドワーフは回避に失敗して死亡。
・・・と思ったのだが、6匹の蝙蝠に追撃されて6d6+30のダメージを受けたのだが、何故かダメージが42点。
防具で12点止め、この洞窟で耐久が6点上がって36点だったので、なんとか生き残る事に成功した。
(6d6で12って普通ありえないな。 ダイス振る数、間違って計算してなかっただろうか、と今疑問に思った(^^;))


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結果的に九死に一生を拾った劇的な展開になった訳だが、私はこの展開が正しい遊び方だった、と言っている訳ではない。
"万歳アタック"を敢行してても、バーサークの出目がおかしかったら、今回と同じくらい劇的な展開だっただろう。


私が、マスターやプレイヤーの腕が上がったな、と感じたのは「プレイヤーの思考範囲、柔軟性が広がった」事であり、「プレイヤーの発想を引き出し、それを受け止める能力」が深まった、と感じた点だ。


TRPGの上達には決まった定義は無いし、これからも出来ないだろう。
でも「マスターの説明をきちんと理解し、適切な質問を行い、柔軟性に優れた発想を示し、適切な判断を下し、最後は運も味方につける」というのは、ほぼどんなTRPGでも推奨される行動ではなかろうか。
(その結果、現れるのが「奇跡的なゲーム的勝利」だったり「深い人間関係の表現」だったり「劇的なストーリー」展開な違いはあってもね)


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まぁ、とはいえ、T&Tはさすがに古い(^^;
「判定基準とかの無さ」=「GMまかせ」=「素人さんの遊びにくさ」は、かなりのもんだ(笑)
実は結構、T&Tルールブックの解説例などには、さまざまな状況に対するSRの解説例が載っているのだが、中学生の頃はそんな物は見向きもしなかった(だって、解説例であってルールじゃなかったしね)

ついでに、今回行なった判定は<知識><隠れ身><威圧><バランス><罠感知><隠しドア発見>くらい。
結構色んな事が出来るし、戦術性やスリル感も、いわゆる"今時の"TRPGも劣ってない。
遊び方によってはまだT&Tは十分現役なんだな、と改めて思う。


・・・というか、ようやくT&Tを回せる位になったのかも知れない。 
やっとT&Tマスター初段くらいだろうか(笑)