首ナイフ問題 ver.でみ

さて、首ナイフ問題である。


いや、前回の話とは全然無関係なのはわかっているのだが、急にこの話について
書きたくなったのだからしょうがない。 別に自分のblogだから好き勝手書いていいよね。



首ナイフ問題とは「悪人がhp8の人質の首に1d4のダメージを与えるナイフを突きつけた。
この場合、悪人は人質を判定無しの一撃で殺せるか」という問題だ。


この問題は由緒正しい問題で、私の知る限り10年以上前から続く問題である。


まず結論から。
私のマスタリングでは「悪人は人質を判定無しの一撃で殺せる」


この理由を説明する為に、GMが何の為に必要なのかを説明しよう。
GMの役割は色々あるがGMの必要性の一つが「ルールを破る為にある」のは確実だ。


TRPGでは無数の状況、無数のひらめきにより、行動に対する無数の選択肢がある。
それに対して有限であるルールでは、全ての行動を的確に判定できない。
その為ルールでは、行動の一部を抽象化するなどしてルールを設定するが、それでは
補えない範囲が存在する。それを補うのがGMである。
だから、GMにはルールを破る資格を持っている。

○○○
実際のセッションでこのような問題になった場合は、私は下記の手順で対応するだろう。


手順.1
「悪人は人質を判定無しの一撃で殺せます。何故ならGMである私がそう決めたからです」
説明不要。このマスタリングでプレイヤーから異議が出なければ話はこれで終わりになる。
十分にプレイヤーと意思の疎通が出来ていれば、速やかに今後の対策を検討に移るだろう。


手順.2
「悪人は人質を判定無しの一撃で殺せます。何故ならGMである私がその方がセッションが
 楽しくなると考えているからです。対応策はあるので考えてください」
メタ的思考。 マスターはプレイヤーに敵対している訳ではない。 
だから、この状況はプレイヤーに無理難題を出している訳ではなく、ある意味乗り越える課題を
出しているのだ、という事を説明する。
プレイヤーが初心者であれば「交渉」とか「不意打ち」などの方法がある事も示唆してしまう。


手順.3
「悪人は人質を判定無しの一撃で殺せます。何故ならこの状況は"止めの一撃"相当だからです。
 (クリティカル相当だからです、でも可) 常識を元にこの状況を正確に再現しました」
ルールは全ての状況を正確に再現する事は出来ない。
その為、一部のルールを拡大解釈し、現在の状況をより正確に再現させる。


手順1から3まで説明してそれでも納得しないのであれば、上記のルールとGMの関係を説明する。
○○○


首ナイフが問題になった時は、おそらくルールは誤解されている。

プレイヤーが異議を唱えるのであれば、GMは常識やセッションを楽しむ為のメタ的思考を武器に
プレイヤーと話し合うべきであり、プレイヤーの「ルールは正しい」という意見に賛成する必要は無い。
何故なら、シミュレーションゲームなら兎も角、TRPGのルールは常に正しい訳ではないからだ。
(D&D3eにもアリアンロッドにも、GMにはルールを越えた権限が認められている)


ぶっちゃけ、数多いターン制、HP制なルールはその時点で正しくない。
どこの世界に敵も味方も「一人ずつ交互に動き」「体力や怪我が数字でわかる」戦いがあるんだ。
これだけでもルールがあらゆる状況を正確に再現している訳ではない事が明白な筈だ。


首ナイフ問題に対して、昔は特別ルール(無抵抗状態のダメージについて、とか)を作成して対応していたが、
そんなルールを順次作成していては遊びにくくなるだけだし、きりが無い。
そんな時こそ、応用が利かないルールではなく、柔軟な人間であるGMの出番だ。
決まりきったルールには出来ない華麗な判定をしよう。