Aの魔法陣

Aの魔法陣というTRPGのルールがある。


知ってる人もいるが、実はここ数年会ったゲームの中でも指折りに私が影響を受けているルールだ。
本来であればもっと早く日記に書くつもりで、何度も何度も文章を書いたのだが、結果的には公開せずそのメモHDDの隅っこで転がっている。
理由は、私自身がAの魔法陣との出会いをどう捉えているか、理解しきれてないからだ。


でも、良く考えたらそんな難しく考える事でもないし、また文章を書きたい気にもなってきたので
徒然に書いてみる事にした。良ければご一緒にどうぞ。



Aの魔法陣アルファシステムが出しているTRPGのルールだが、とても特異なシステムだ。
それは勿論、ルール的に珍しいという意味もあるのだけど、その展開方法も面白い。


Aの魔法陣はネット上での手厚いサポートが行なわれている。
これはFAQやエラッタをマメに公開したり、シナリオや読者企画を行なうといった、他のメーカーの”おまけ”程度のサポートは明らかに一線を画しており、公式掲示板でデザイナー自らがマスターを行なってAの魔法陣を遊んでみたり、最近ではチャットでのオンラインセッションも行なっている。


勿論、質問は常時受け付けており、体感では半日もあればデザイナー本人からの解答がある。
2,3日レスが出来ないだけで、きちんとお断りを入れる事自体、質問の回答がさっぱり帰ってこないのが普通だと思っていたTRPG業界では驚くべき事だ。


そして、それ以上に面白いのがデザイナーがマスタリング方法やTRPGのデザインについて、それどころか他のTRPGの遊び方など多種多様な話し相手になってくれる事だ。


これは、多少はデザイナーの趣味もあるだろうが、れっきとしたサポート展開の一環である。
Aの魔法陣(TRPG全体もだが)を広める為には、優秀なマスター(Aの魔法陣ではSD)を数多く育てる必要があり、その方法としては”マスタリング講座”を書くよりも、実際に直接掲示板やチャットでやり取りをして疑問を晴らし、マスターは怖くないと知ってもらうのが有効な手だ。
事実、Aの魔法陣の公式ページで遊んでいる参加者の多くはSDに興味をお持ち、オンラインセッションでのマスターデビューをした人も増加してきている。


別の言い方をすれば、マスタリングの腕を磨きたい、もっと上達したいと思う人にとっては今が好機とも言える。
自分より経験豊富なTRPGプレイヤーとじっくりと話し、手ほどきをしてもらえるのは大変参考になる。
私自身、その恩恵に与り、色々とマスタリングについて学ばせてもらっている。



このような経験をすると、今後のインターネットとTRPGの関係についても色々と思うところがある。
多くの人が気づいているように、インターネットとTRPGの組み合わせは、過去には出来なかった様々な試みが行なえる新世界のようなものだ。
ユーザーはいち早くその可能性に気づいて、かなり以前からオンラインセッションを行なったり、いままで中々交流が出来なかった他のプレイング環境との情報交換を行なっている。


翻って、メーカー側の対応は上にも書いたがFAQやエラッタの公開や、開発裏話。シナリオや読者企画くらいだったが、そこにアルファシステムは、より効果的な対応が可能な事を証明してみせた。


私としては、このような試みが成功し、多くのメーカーが参考にしてくれる事で、今まで身近にプレイング環境がなかった為に参加できなかったまだ見ぬ友人達がTRPGを始める切っ掛けになってくれる事を期待したいな。