T&Tの鱗

T&Tについて、ある人の日記に面白い事が書いてあった。


ある先輩ゲームデザイナーに「T&Tはダイスに意味のないゲームでもある」と教えられたとの事。
目から鱗が落ちるとはこの事だ。


T&Tは、多彩な武器データと個性的な魔法、ベアダンジョンなどのデッドリーなバランスと
ソロに多いような(不条理なまでの)リドルのある世界観を楽しむゲームだと思ってたし、
今でもそれを否定するつもりは無いのだけど、今回の話で世界が変わったのも本当だ。


T&TはPCの戦闘力はダイスの数とその修正値に集約される。PT全体の戦闘力も同じだ。
戦闘時に大量にダイスを振るのは爽快だけど、指摘されて始めてT&Tの冷徹さに気づいた。
当然ながらダイスは数を振れば振るほど期待値に近づく。ダイスの乱数幅が少なければなおさらだ。
その結果、当然、勝てない敵にはさっぱり勝てないという非情な現実が現れる。


デザインコンセプトが違う他のルールと比較するのは無意味ではあるのだけど、例えばD&D
比較した場合、実際に剣を交える状況になっても様々な特技や立ち位置などを使って出来る
選択肢が数多くあり、またT&Tに比べて少量のダイスを使っているので運の要素も大きい。
それに対してT&Tは一度戦闘に入ってしまうと、あとは戦力が淡々と結果を導く。


別のところで、あるゲームデザイナーさんがT&Tのハウスルールを話していた
曰く、
>サイコロは一人4つ
>戦闘ダイスは固定値3
>全員盗賊
>”崩し”表の使用


最初、このルールが何を意図しているのか分からなかったが目から鱗が落ちてみれば簡単だ。
ダイスは基本的にセービングロール(判定ね)の為に使い、戦闘ダイスはどうせほぼ期待値に
なるのだから計算しやすい3に固定する。
戦闘では、戦士はバーサークを除くと選択肢が少なすぎ、魔術師は一発屋として要素が強すぎて
(全力の"これでもくらえ"が強すぎて)やはり選択肢が少ない。
魔法と攻撃力のバランスを取る必要のある盗賊がこの遊び方には向いているのだろう。
崩しの表は、見てないのではっきりとは分からないが、相手の戦力を削る行動に対する結果の表
(暗いとどうなるか、転倒してるとどうなるか、とかかな)なんじゃないかな。
「T&Tのダイスには意味が無い」という側面から見て遊ぶには面白そうなルールだ。
今度機会があったら遊んでみたいと思う。


昔(本当に昔だな)、散々遊んだはずのルールが、一言で蘇るのは感動的だ。



別の話になるが「先輩ゲーマーに教えてもらう」と言うのはとても貴重な経験だ。
特に今回のような指摘は、ほんの一言で極端に言えば世界が変わる。
正直うらやましいと思うし、そんな機会を探したいとも思う。
でも、逆にインターネットが発達したおかげで、こうやって間接的にでもその教えに接する事が
出来るなら、それはそれで幸運なんだなとも思う。


インターネットがTRPGに先達に教えを来い後進を導く機会になるならもっと幸せだな。