ウィザーズ・ブレインなTRPG

ラノベが好きな人がTRPGについて「なんじゃらほい?」と話してたので、面白そうなんで書いてみよう。


好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!! ―TRPG についてメモ
ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 東邦の快男児 - ウパ日記


TRPGが何かってのは色んな人が書いてるので、そっちを参照ください。
たぶん、私的にはここが一番参考になる気がします。


ラノべとTRPGの関係性 (のべるのぶろぐ 2.0)


私は具体的に、どんな風に遊ぶのかを書いてみる。


とりあえず私が「ライトノベル好き」な人に「TRPG遊んでみたい」と言われたら、『ウィザーズブレイン』セッションを開催する。
システムは…最近遊んだから『ナイトウィザード2nd』で良いか。


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タイトルは「ウィザーズブレイン・再会の天地』(6巻そのままやね)


まず『今回予告』
これは「今回はこんな風なセッションで遊ぶから、心構えしておいてね」と言う物。

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シティの要《マザー・システム》の秘密を全世界に告発した賢人会議は、全シティに対し宣戦を布告。
“シティ・ニューデリー”の議会は、魔法士を犠牲にしながら“マザー・システム”を稼働させ続けるか、
魔法士を守るために“マザー・システム”を棄てるかで紛糾していた。


そこにいたのは、魔法士でありながら“マザー・システム”存続を唱える執政官アニルだった…。
だが現れた賢人会議の真昼は、さらなる恐るべき事実を、全世界に突き付けるのだった!



この今回予告では『舞台はシティ・ニューデリー』『最初の争点はマザー・システムの是非』
『キーパーソンは、執政官アニルと賢人会議の真昼』『最後に、大逆転あります』というのが分かる。


これは「マザーシステムに関連のあるキャラクターを用意してね」「大雑把に、シティ側(執政官側)か、魔法士側(賢人会議側)のどっちに味方するか考えといて」と言ってる訳です。
あと、アニルや真昼を無視しないよーに、という意味もある(笑)


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次に、プレイヤーキャラクターを作成する。
キャラクターを作成する為には『ハンドアウト』と呼ばれる指針が公開されます。


PC1:悪魔使い
君には守るべき大切な人がいる。彼女(彼)は神戸のマザー・システムの素体として生まれ、今もなお世界中から狙われている人だ。
しかし、君は悩んでいる。君は彼女を助ける為にシティ神戸を浚い、それは結果として何万人と言う犠牲を出したからだ。
君は、彼(彼女)と君自身の未来の為に、マザー・システムとは何かを見極めなくてはいけない。


君はシティ・ニューデリーに、行方不明だった”兄”の消息を訊ねて行く所だ。上手く見つけられると良いのだが。


PC2:もう一人の悪魔使い
君には夢がある。それは魔法士達が胸を張って生きられる場所を作る事だ。
現在のシティはマザー・システムという動力源で存続しており、それは魔法士を"生贄"にする事で成立しているのだ。
「人類が生き残る為には仕方がない」と誰もが諦める世界で、君だけは「生贄にされる魔法士の代弁者」として闘争を続けている。


君は賢人会議の代表としてシティ・ニューデリーの議会を利用して、全世界に真実をつきつけるのだ。


PC3:双剣
君は元々はシティ側のエージェントだったのだが、"人を殺せない"という”欠陥"の為に無能力者として扱われていた。
その君が変わったのは”光使い”の少女に出会ったからだ。君は彼女が笑って生きられる場所を求めて闘っている。
…まだ、人を殺すという事の重さには、馴れていないが。


君は賢人会議のエージェントとしてシティ・ニューデリーに赴き、圧倒的な戦力を持つシティと渡り合わねばならない。


PC4:異端なる空賊
君は世界に3隻しかない雲上航行艦を操る空賊だ。実際は運び屋でありなんでも屋でもあるのだが。
元々は、研究の為に生み出された"出来そこないの魔法士”だが、空賊に拾われて名前と家族を得たのだ。
しかし、その家族も既に無く、君は自分の心(と財布)以外何にも縛られない自由人として世界を飛び回っている。


君はシティ・ニューデリーの古い友人に呼ばれて訪ねに行く所だ。その友人の名はアニル。



今回は4人分用意してみました。でっち上げなんで多少変なのはご愛敬。
これを見て、参加者の中で自分の遊びたいキャラを選択してもらう訳です。


例えばPC2を選んだ場合は、このハンドアウトを読んで「元エージェントだから正統派魔法士が良いかな。じゃあ”騎士”にするか。白兵戦で切りあいをするタイプで」などと考えます。


その後、ルールブックを見てイメージに合うキャラクターデータを選択する訳です。


・攻撃手段は騎士剣だけで良いや。絞り込む代わりに1点豪華主義で。ディユアルコアを使用した圧倒的な攻撃力が売りです。
 データ的には「魔剣使い/アタッカー」にしようかな。
・「うわ、二刀流は忍者用じゃん!」「最終必殺技(森羅)用にリミットブレイク欲しいけど、あれは転生者専用かぁ」


などなど色々考えるのですが、ここではそれは割愛。
ビギナーさん相手には、主催者(GMと呼びます)が、だいたいのデータを作ってきてくれたりします。


それに、名前や容姿、服装。守るべき彼女(彼)の名前や、これまでどんな生活をしてきたかなどを決めます。
これも手助けになるチャート類があるので、そんなに手間じゃないです。
一番大変なのは、自分のキャラに名前を付ける事だとか。 今回は”デュアルNo.33(ディー) ”でいいか(笑)


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ここまで終わると実際のゲーム開始です。 GMがデータを作ってきてる場合、ここまでは結構すぐ終わります。


ゲームは、GM(主催者)が全体の管理していて、PC以外の全ての登場人物を操ります。
例えば、"異能ならざる双子"とか"千里眼"の役をする訳ですね。


ゲームの展開は、だいたいこんな感じになる筈。


GM:じゃあ、次のシーンは”シティ・ニューデリー中央招集会議” このシーンでの主役はPC2ね。


シティ・ニューデリー中央招集会議は白熱の度合いを増している。
カリスマである執政官アニルは、詳細なデータを公開して”マザー・システム”の更新を訴えており、それに対して、彼の妹である執政官ルジュナは、シティ全体のエネルギー節制と機械部分の改良で”マザー・システム”の更新を延期しようとしている。


ルジュナは市民に向けて言った。「次に生贄になる魔法士は、あなたの友人や家族かも知れません。更新は延期しましょう」
その言葉は魔法士と一般市民が共に暮らすシティ・ニューデリーの人達の心を揺らしたようだ。


PC2:じゃあ、ここで会議場に登場したい。警備になっている一般兵は戦力差が圧倒的だから判定無しに倒しても良い?
GM:良いよ。 では不意に散発的な銃声と何かが次々に倒れるような音がしたかと思うと、会議場の中央扉から一人の少女が現れた。
PC2:堂々とした態度で会議場に入りパチパチと拍手する。
  「執政官ルジュナ。あなたの演説は素晴らしい。 だが、それだけでは魔法士の代弁とは言えないな」
GM:アニルは言います。「おや、あなたは我がシティの方ではありませんね。何故ここにお出でになったのですか?」
PC2:薄く笑う。「招待状が来ていなかったので勝手に参上した。 我ら賢人会議にもこの会議に参加する資格がある筈だ」
  「”マザー・システム”の更新を延期など生ぬるい。マザー・システムの廃止を前提に議論を進めてもらおう!」
PC1:うわ、たまらん。GM、実はアニルの護衛としてここにいた事にしていいかな?
GM:登場判定に成功したらよいよ。
PC1:(サイコロを振る)成功。 じゃあPC2に向かって叫ぶ。
  「マザー・システムを廃止したら、100万の市民が死ぬんだ! 君はそれでも良いと言うのか!」
PC2:PC1に視線を投げて「ほう。魔法士の貴方がおかしな事を言う。 では、100万の市民の為に何の罪も無い魔法士が"生贄”となる現状に疑問を持たないのか? あなたの恋人がシティの犠牲になるのをあなたは黙って見ていられるのか?」

(後略)

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ゲーム的には、全体的にこんな感じで「もし自分がPCの立場だったらどうするか?」という視点でPCを動かして参加し、話の展開は、PCとGMが共同で作り上げていきますので、どんな展開になるのかを正確に予測する事はできません。
上記のような展開になる可能性も十分ありますし、ここで”悪魔使い”vs”悪魔使い”となる場合もあります。
PC3やPC4が、自分の出番が待ちきれなくて乱入してくる事もあるでしょう(笑)
その結果、予想もしない展開(例えば、アニルが助けられちゃうとかさ)もあるでしょう。


戦闘など客観性が強い事柄には、サイコロを振ったりゲーム的データを駆使して結果を決めますので、PC3がPC4にあっさり負けてしまう事もあるかも知れません。


そうやって、一つの物語を作り上げていくのがTRPG(の一つ)です。
…まぁ、こうやって文章で読んでも分かりにくいので、実際に遊んでみるのが早いよね。



ライトノベルの親和性でいうと、ライトノベルが"小説"で、TRPGが"ゲーム"である以上、同列に語れないのは当然として。
設定とかキャラクター造形なんかは参考になる部分が多いですね。


ライトノベルが好きで、近くに腕のあるTRPGゲーマーがいる人は、一度遊んでみても良いんじゃないかな?