【DM視点レポート】

今回は500匹のオークに襲われた辺境の村を救う話。


オーク退治の依頼を受けて村にやってきたPTは、村が今まさに500匹以上のオークの軍勢に蹂躙されている事を知る。
彼らは「炎上する家に取り残された子供の救出」「混乱している自衛団の指揮系統建て直し」「主力である騎士団への合流と情報入手」のどれを優先しどれを切り捨てるかと、三択問題に迷う。


DM:瑣末な事柄に関わらず主力に合流し、正確な情報を元に行動するのが最も村人を多く助けられる最善手でしょうね。
 次に優先度が高いのは自衛団で、無駄に戦力を捨てるのを止めて盾にすれば、多くに村人が助かるでしょう。
 子供をわざわざ時間を割いて数人助けるのは、人口600人以上の村が襲われている現状ではあまり意味は無いかな。
DM:今、目前にある選択肢は以上です。 ちなみに時間が経つに従って死者は増加します。 どうしますか?


DMをしていて『大変楽しい瞬間 その1』でした<鬼 


手分けをして幾つか行なえば時間は掛からないが戦力分散時に襲われたら対応できないし、かといって時間を掛ける訳にも行かない。
結局、騎士団は見捨てて子供と自衛団への援助に徹する事に。  君達は村人には優しいのに騎士団には非情だね。
日没まで後30分。暗くなれば暗視のあるオークの軍勢に敵う術も無く村は壊滅する。
また、こうしている間にも村を襲撃している別働隊によって被害は拡大し続ける。
だが、こちらの戦力は壊滅寸前の騎士団(騎士3名、従者x13名)と、自分達のみ。
苦渋の選択の結果、騎士団を囮にオークの軍勢を釣り、不意をついてリーダーを叩いて撤退させるという戦術に。


DM:騎士団が追いつかれるまで18秒、100から200匹のオーク達相手に抵抗できるのも18秒、一分後には騎士団は壊滅し、オークの主力は
  村に突入すると思われますが、それでOKね?
PL:ううーん。

DMをしていて『大変楽しい瞬間 その2』でした<鬼畜


PTは、オークリーダーには損害を与えられませんでしたが、司祭に大ダメージを与える事ができてオークは一時撤退。
村は束の間、命永らえますが、明日再度、襲撃があれば耐えられない。 そこに村長から話があり。


村長(NPC):申し訳ないが、負傷者や女子供を含む村の生き残り300人の護衛をお頼みしたい。
      謝礼は、村の金品は全て差し出しましょう。


半壊した村が持つ金目の物は子供の貯金箱まで含めて全て差し出す光景に、依頼を断れないPTの面々。
このまま村人を指揮して『七人の侍』でもするかな、とも考えていたのですが、PTは逃走劇を決意。


翌日、オークが活動する夜までに少しでも距離を稼ごうと物言わぬ墓標だけに見守られて村を出立するが、道行は遅々として進まない。
50歳を超える老人や6歳の子供の足に合わせているのだから無理も無いのだが・・・。


しかも、夕暮れ時には風が冷たい雨の気配を運んで来た。
このまま移動すると崖下でキャンプを張る事になる、この場合、小規模な崖崩れが起きて村人数人が亡くなる可能性が30%。
大規模ながけ崩れが起きる可能性は10%くらいだろう。
冷たい雨の中一時間行軍させれば、病人や怪我人,子供を中心に5人から10人が気絶し、村人の反感も高まるが森に入れる。
ただし、森は視界が利かず、襲撃があった際は不意打ちを受ける可能性は高い。
更に雨の中を歩かせれば、見晴らしの良い丘に雨が避けられる大木があるが、そこまで行くまでに意識不明者は10人を越えるだろう。


DM:父親を失った6歳の男の子は、5歳の妹を背負う母親に手を引かれながら「僕、まだ歩けるよ。お兄ちゃんだもん」と言っています。
  この子達を冷たい雨の中、寒さで気絶するまで歩かせようとする難易度は20です。 さて、どうしますか?
PL:もう、細かい描写はいりません。嫌がらせだー。
DM:何を言ってるんですか。PLが感情移入しやすいように細やかな描写をしているだけ。サービスですよ。


DMをしていて【大変楽しい瞬間 その3】でした<外道。


再び「7割安全な崖で妥協しよう」「いや、意識不明なだけで死なないんだから歩かせよう」とPT内で紛糾した結果、家族を亡くし、村を失い、将来の希望すら持たない村人達を、時期に雪に変わるであろう冷たい雨の中、無理やり行軍させる事を選んだのでした。
個人的には良い判断だったと思います。英断、英断。


当然ながら、この行軍速度ではオークを振り切れる訳も無く追撃部隊と交戦が迫るのですが、偵察部隊を出してオークリーダー主力の進撃ルートを予想したPTは、子供<怪我人病人<女<男で円陣を組ませて、騎士団の生き残りと自衛団に死守を命じ、敵中枢を襲撃する事を決意。


DM:まぁ、幸いな事に追撃部隊も100匹を切っているので騎士団が壊滅するまで数十秒は持つんじゃないかな。
  その後は、男から順番に死んでいく、と。 それで良いのかな?
ファイター:戦う力を持つ者が無力な者を守って死ぬのは当然だ。


騎士団って大変だねー、と思いつつもラストバトル。
PTはオークリーダーと副官の司祭を撃破し、追跡部隊を撤収させる事に成功します。


今回は情報収集があまり無く黒幕の姿は見えませんでしたが、かなり多くの村人を無事避難させる事に成功しました。
死者:189名、重傷者:103名はかなり見事な結果だと言えるでしょう。
(その代わり、村に防衛のために駐留していた騎士団は生還率が3割を切る厳しさでしたが)


今回、私の卓で戦った冒険者達は何もかも失うはずだった村人達の命だけは守る事が出来たのでした。 おめでとう。