T&T考


T&Tというのは、色々誤解を受けているシステムである。


最も大きい誤解は「笑いの絶えないRPG」で「キャラクターシートが何枚あっても足りない」TRPGである、と言う物だ。


T&Tがコミカルで突拍子も無いセッションに向いてる事は否定しないし、バタバタと死にながらベアダンジョンに挑むのがT&Tの魅力の一つである事は否定しないが、それだけでT&Tの魅力を分かった気になるのなら、それは理解が足りないと言えるだろう。


この辺の誤解はSNEがT&Tを上記のようなイメージだけで宣伝してきたのが理由の一つだとは思うのだけど、ある程度仕方がない側面もある。
商売という観点で見た時には「分かりやすく特徴的なイメージ」で宣伝するのは有効なのは分かるからだ。
「ギャグですぐ死ぬシステム」という宣伝文句は相当セールス的に有効だっただろう。


でも、上記のT&Tのイメージは誤解であり、少なくとも偏見だ。


それは、D&D3.5eが「サプリをドンドン追加して遊ぶのが面白いシステム」として認知されている一方で、コアルールだけでも十分面白いみたいな物だし、「厳密なルールを駆使して戦闘をするゲーム」と認知されつつも、実際は膨大な背景設定世界を使用したロールプレイ重視のゲームとしても楽しまれているのに似ている。


T&Tの魅力は、もっと多面的な物だ。
それは例えば、幅広い年代に対応した武器装備が、歴史物を遊ぶ為に有益だったりする事だったり、戦術レベルで見通しの良いシステムが戦略レベルでのゲーム性を生んでいたり、基準化されたルールが高度なユーザビリティを実現していたりする点である。


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T&Tの誤解のもう一つは「T&Tの戦闘はダイスを沢山振ってデカイ目を出すだけ」と言う物だ。


この辺ももう少し理解が進む事を、T&T普及委員会会員(現在1名)の私は願ってる。
なので、T&Tの戦闘をもう少し解説してみよう。



○解説○


ご存じの通りT&Tはパーティ側の合計HIT(攻撃力)と敵側のHITを比較し、差分がダメージとなって負けた側に分配されるという戦闘ルールである。


このシンプルなルールは、シンプルであるが故に容赦がなく冷たい。
他のTRPGで見られるクリティカルヒットやダメージダイスの多少の大小では戦況がひっくり返る可能性はかなり低い。


コレに対して、大体の人は下記のような流れで適応していく。


1.
PC側が手軽に取れる手段は「HITを上げる事」と「ダメージの分配先を増やす事」になる。
ゆえに、最もダメージの出る装備(往々にしてクラブ二刀流になる(笑))をして、魔法使いも最初のターンから戦闘に参加し最大の「これでもくらえ」をぶちまかす事になる。


これは「敵のHIT数が予測できない」ので「初手で最大火力」という理論だ。美しい。
(なんだけど、あまりに的確すぎて選択肢が成立しないので、敵のMRは事前公開の方が望ましいと思うな、私は)


2.
これの次の段階として「戦闘前に敵の戦力を最小に」「味方の戦力を最大に」する事を考えるようになっていく。
これは戦場を選んで敵を分断し、壁呪文で分断し、奴隷や雇い人、呪文で支配したモンスターなどを味方戦力として投入する事となる訳だ。
また、戦闘開始前に飛び道具での遠距離攻撃を行う事で戦力を増加させる事も有効だね。


「戦争は戦力が多い方が勝利する」という理論だね。これもまた真実。


3.
更に考えを進めると、戦闘が開始する前に勝利を決めてしまえばいいという発想になる。
そこで5版や7版のルルブの戦闘例を参考にして、不意打ちや挟撃が生かされるようになる。


兵は詭道なり」とは良く言ったものだ。夜討ち 朝駆けは基本だね。


4.
上記の集団が使用できない環境であれば、対抗手段はSR(セービングロール)になる。
コレもルルブの戦闘例にあるけど、相手を突き飛ばしたり、急所を攻撃したりするのは
運任せのSRをする事になる訳だ。
ある意味、これがあって初めてT&Tはダイスを振る意味があると言えるかも知れないな。
「正道でダメなら奇手」と言う事か。



このように、T&Tの戦闘はD&D3.5eの「立ち位置やタイミングによる連携」(=戦術)などとは違った意味での工夫(=戦略)が評価されるシステムになっている。
コレを理解しないとT&Tの面白さは、せいぜい半分しか伝わらないだろう。


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まぁ、と言う訳で「T&T遊ぼうぜ」ってのが結論だ(ぉ